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犬の幼稚園 [話題]

「犬の幼稚園」と聞いて、どんな所を想像されるでしょうか。もみの木動物病院(神戸市)の「犬の幼稚園」にお邪魔し、副院長で、動物行動学がご専門の村田香織先生にお話を伺いました。ペットホテルのような所をイメージされるかもしれませんが、ケージの中で一日中寝ているような場所ではなく、犬が生き生きと輝きながら過ごしていたそうです

 村田先生が犬の幼稚園を始めてから13年余り。最初は、問題行動がある犬の治療のために始めたそうです。今では問題行動のある犬だけでなく、普通の犬も幼稚園に通っていて、犬と犬、犬と人が触れ合えるようになっています。もみの木動物病院のパピークラスの卒業生が7割くらいを占め、犬種も年齢もさまざまです。

 1960年代にイギリスで誕生した「動物福祉の5原則」をご存知でしょうか。動物が心身ともに健康に生きていけるよう
・不適切な栄養管理からの自由
・不快な環境からの自由
・身体的苦痛(病気や痛み)からの自由
・精神的苦痛(恐怖)からの自由
・正常な行動をする自由
が定義されています。

 特に、この中の“正常な行動をする自由”を犬が謳歌できる場所が「犬の幼稚園」だといいます。

「犬の幼稚園」ってどんな所? 犬たちが生き生き過ごしていた
「次は何しよう」
犬が自分で考え、動き回る
 犬にとって正常な行動とは何でしょうか。オオカミと共通の祖先を持つ犬は、獲物を追いかけ、探して、捕まえて食べるのが本来の生き方です。お散歩の時にクンクン匂いを嗅いだり、何かを探して追いかけたりするのは、犬本来の行動で、犬は他の犬や人との触れ合いも必要だといいます。

 犬を飼っていても仕事が忙しく、昼間はお留守番、夜は暗くなってから排泄だけのお散歩に出るという生活を余儀なくされている飼い主さんも多いかと思います。しかし、そんな生活では、犬はなんの楽しみもありません。寝てばかりいては、生気を失ってしまいます。

 犬の幼稚園に通う犬は、たくさんの犬とじゃれあったり、互いの匂いを嗅いだりして過ごします。そして、心地いい場所を探すために、あの子のそばに行こうとか、逆に行かないでおこうとか、スタッフのそばにいようとか、自分の頭で考えて行動するのです。

訪問した日は雨降りでしたが、幼稚園の広々としたスペースで20匹ほどの犬たちが元気に遊んでいました。みんな好奇心がいっぱい。初対面の人が珍しくて仕方ないようでした。わーっとそばに寄ってくる子、遠巻きに様子を伺う子、「いったいこの人は誰なんだ?」と椅子の下からじっと見つめる子。みんな自分の意志で自由に動きます。

 驚いたのは、眠っている子が少ないことでした。おもちゃで遊んだり、トンネルをくぐってみたり、スタッフにおやつをもらったり。疲れると眠ってしまう子もいますが、みんな生き生きと活動しています。仲間と一緒にたっぷり遊んで、家に帰ったらぐっすり眠る。満足げな寝顔を見て、飼い主さんは癒やされるのだそうです。

 犬の幼稚園では、トリック(芸)を教えてもらうこともできるのですが、トリックが成功すると、ごほうびにおやつをもらえます。コントラフリーローディングといって、探索したり、努力したりして、ごほうびをもらう行為は、犬にとって、ポンとおやつを与えられるより楽しいことなのです。人間が山に入ってきのこを採ったり、いちご狩りをしたりして、収穫を味わうのにも似ています。

 また、歯磨きタイムもあって、お口のチェックも兼ねて、ブラッシングしてもらう練習をします。動物病院が母体なので、食事の管理など、健康チェックもしてもらえるのも助かります。

 動物行動学の理論にもとづいて、いい刺激をたくさん受けて、犬が楽しく過ごすことができる「犬の幼稚園」。犬は日中からうつろな目をして眠っている動物ではなく、本来は、自分の頭で考え、選択し、生き生きと輝いて生きる動物なのだと実感させられました。
タグ:犬の幼稚園

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